夏になったら、海へ行こう #2

間が空きましたが| ̄ω ̄A;アセアセ、先日の続きです。
以下からどうぞ。





「公太さん、今夜のデザートはチョコレート系でいいですか?」
1限目と2限目の合間に、見計らったようにタロウから電話が入った。
「チョコレート……食べたいのか?」
「いえ、公太さんが食べたいかなぁと思いまして。チョコレートムースケーキとか」
ウソつけ、本当は自分が食べたいくせに。
「そうか……、じゃあチョコレートムースでいい。でも、デカイのは買うなよ」
「解ってますよ。買う前に決めておかないと、イロイロ悩んでしまいますからね」
いや、解ってない。買うなと言っても、絶対店にある一番デカイケーキを買ってくるんだ。それをまた、タロウが殆ど食べてしまうんだ。
仕方ない。今夜の夕食は、カロリー控え目の和食にしよう。タロウの好きな豚カツにしようと思ってたけど、食後にチョコレートムースを食べたら、摂取カロリーは完璧オーバーだろう。ただでさえ、タロウの食欲は、最近良過ぎて困る。最近では、成人病も若年化しているって言うし、タロウの身体の事を考えると高資質な豚カツは、諦めざるを得ない。

「あ、そうそう、公太さん」
電話の向こうでタロウが呼び止める。
「何だ? オレもう教室に入らないと……」
「休み、取りましたから」
「マジ?」
「マジです」
やたっ!! 偉いぞ、タロウ。夏休みは、南国の島でパラダイスに決定だ!!
じゃあ、と言って電話を切った途端、オレはガッツポーズをきめた。
よし! 今夜は、豚カツにしよう。休みを勝ち取ったタロウへのご褒美だ。
カロリーオーバーとか、高脂質とかは気にするな、オレ!!
そんなものは、夜の運動でタロウの体力と精力が続く限り消費すれば問題無い。
……いや、問題か? タロウの体力と精力にオレがついていけるかが問題だな。……少し、手加減して貰おう。


夜、タロウが帰る時間に合わせて、食卓に皿を並べていると、いい具合にタロウが帰宅した。
「只今、公太さん」
「お帰り、タロウ」
チュッっと、ひとつキスを交わしてオレの背に手を添える。
「先に風呂にするか? その間に豚カツを揚げておくから」
「……今夜は豚カツですか」
大喜びするかと思っていたタロウが、少し眉を顰めて呟いた。
「え? タロウ、豚カツ好きだったろ?」
「ええ、大好物です……」
即答したけど、何だ? スッキリしない返答だ。
「……食欲無いのか?」
「いえ……、公太さんが作った料理なら、食欲が無くても美味しく完食出来ます」
と言うのは、食欲が無いって事か? 回りくどいヤツだ。
「体調悪いのか?」
タロウの顔を見上げた。けど、何時ものように血色の良い男前な顔をしているだけだ。
「体調はいいです。心配しないでください。じゃあ、私はお言葉に甘えて、お風呂に入りますね」
そう言って、バスルームへと向かった。

ナンだろう? 心なし、タロウの後姿に元気が無い。
体調は悪くは無いと言ったけど、何だか落ち込んでるような……そんな感じがする。
会社で何かあったんだろうか? 朝、電話を掛けてきた時点では、何も感じなかったけど。でも、タロウは仕事の話しはオレには一切しないし……。
あっ、まさか、まさか!
考えられる事は、唯一つ。

「本当は休みが、取れなかったんじゃないのか?」
風呂上りのタロウに単刀直入に訊いてみた。
タロウは、少し驚いたようだったけど、
「ちゃんと、休みは取りましたよ。本当です」
オレに微笑んでそう応えた。
「長兄が、『新婚旅行はまだだったな』と、快く休みをくれました」
嬉しそうにタロウがオレに話してるのに、やはり何処か様子が変だ。オレに心配かけまいと、それを必死で誤魔化しているようにさえ思う。
「じゃあ、何だよ? 何で、そんなに元気が無いんだ?」
オレはタロウに食いつくように問いかけた。
だって、心配なんだ。タロウが大好きだから。オレに出来る事があれば何だってする。

「……ムース……」
「はい?」
「……チョコレートムースを買い忘れました……」
タロウは、本当に残念そうにそう言った。


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まだ、続きます。

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